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今回は、残業手当の請求に関する判例を紹介します(つづき)。
三 被告の主張及び抗弁 1 被告は、原告ら大型運転職に対する超過勤務手当(残業代)(時間外及び深夜労働(残業)に対する手当の総称)の支払につき次に述べるような特別の方式(以下「ブラザー方式」という。)を用いているが、この方式は合理性を有し、原告ら所属の労働組合の承認を得て実施されているものであるから、原告らの割増賃金(残業代)の支払につき不払の事実はない。 (一) 被告の業種は貨物自動車運送業等であるところ、特に大型運転職にある従業員の場合は、長距離運転が多く、その勤務形態は非常に変則的となり、超過勤務手当(残業代)支給対象となる労働時間の把握が著しく困難となっている。そのため、時間外労働(残業)一時間当たりの割増賃金(残業代)額及び深夜労働(残業)一時間当たりの割増賃金(残業代)額算出のための計算式(以下「計算式」という。)を設定するとともに、早出・残業・休日・深夜労働(残業)時間を行先方面別に経験則上合理的に予測される実労働時間よりも相当余裕をもって定め(以下「セット時間」という。)、この「セット時間」を実際の行先方面ごとに、時間外及び深夜労働(残業)時間としているのである。 (二) 計算式は原則として、毎年の賃金改訂の時期に賃金改訂とともに変更され、この変更後の計算式はその都度原告らの所属する労働組合及び被告に存する他労働組合にも了解を得ているのである。なおセット時間は、昭和四八年一二月二一日にそれ以前に設定されていたものを両組合の了解のもとに改訂し、以後昭和五六年七月二一日に改訂されるまで一部を除きほぼ変更はない。しかして、右計算式とセット時間は以下のとおりである。 (1) 昭和五四年三月二一日改訂実施分にかかる計算式(昭和五四年四月分以降昭和五五年三月分まで適用) 1、時間外労働(残業)一時間につき={(基本給+役職給)÷一九二×一・二五}+{業績給(七五、六〇〇円)÷総労働時間(三三三・五時間)×〇・四} 2、深夜労働(残業)一時間につき={(基本給+役職給〕÷一九二×一・五}+{業績給(七五、六〇〇円)÷総労働時間(三三三・五時間)×〇・五} (2) 昭和五五年三月二一日改訂実施分にかかる計算式(昭和五五年四月分以降昭和五六年七月分まで適用) 1、時間外労働(残業)一時間につき={(基本給+役職給)÷一九二×一・二五}+{業績給(七七、七五〇円)÷総労働時間(三二七時間)×〇・四} 2、深夜労働(残業)一時間につき={(基本給+役職給)÷一九二×一・五}+{業績給(七七、七五〇円)÷総労働時間(三二七時間)×〇・五} (3) セット時間(昭和四九年一月分から昭和五六年七月分まで適用) 1、(一運行一人当たり) 起点 行先 早出・残業時間 深夜時間 名古屋 仙台 一四時間 一一時間 同 群馬 七・五時間 一〇時間 同 東京 七時間 八時間 同 新潟 八時間 一〇時間 同 大阪又は静岡 七時間 〇・五時間 同 北条 七時間 二時間 同 福岡 一三・五時間 一三時間 同 熊本又は大分 一五・五時間 一三時間 同 広島 七時間 一二時間 なお、この表にない区間を運行する場合は、その都度定め多発する場合はセット時間を定めることとしている。 なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談交渉、刑事事件や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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