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今回は、残業手当の請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
2 右認定事実によれば、被告は本件組合との団交の席上で、超過勤務手当(残業代)について未払のあることを自認ないし承認したことはなく、ただ、別途交渉中の賃金改定の中で、本件組合の申入れの趣旨を反映させたいと答えたにとどまるものであるから、再抗弁(二)ないし(四)の主張は、いずれも採用しない。 3 したがって、原告らの請求分のうち、昭和五三年七月分から昭和五四年七月分までの請求は、仮に原告らに割増賃金(残業代)支払請求分があったとしても、時効によって消滅している。 三 昭和五四年八月分以降の割増賃金(残業代)の算定 1 時間外及び深夜各労働時間数について 右各労働時間数につき、原告らはセット時間を、被告はタコメーターに記録された自動車が動いている、いわゆる実ハンドル時間を、それぞれ主張する。 (一) そこで、まず、セット時間と実労働時間との関係について考察する。 (1) 〈証拠〉によれば、被告では大型運転職の場合、勤務が変則的で長距離運行が多く、その実労働実態の把握が困難であることから、いわゆるセット時間を定めていることが認められるが、更に、セット時間の算出について、同証人らは、行先方面別の運行実態を分析し、各作業項目の点検をして標準的な実労働時間を「充分上回る」標準運行時間を設定し、その中から超過勤務(残業)時間を集計し、それをセット時間としていると証言する。 (2) 原告らは、原告木村の労働実態を示すものとして、〈証拠〉を提出し、セット時間が大型運転職にとって有利でないと主張するが、〈証拠〉によれば、時間外及び深夜各労働時間は概ね下記表の「原告提出書証分」記載のとおりで、セット時間と比較すると、セット時間の方が労働実態から算出される時間外及び深夜各労働時間を相当上回っていること並びに荷積み、荷降しなどの作業の多くが所定労働時間(午前八時三〇分から午後五時三〇分まで)内に行われていることが認められる。なお、〈証拠〉分の時間外労働(残業)時間が長いのは休日労働が含まれているため(〈証拠〉)である。 (図一) 右表の労働時間を出すについては休憩及び仮眠時間(〈証拠〉によれば、大型運転職の場合、通常自動車運転席の後部に設けられた仮眠設備で仮眠していることが認められる。)を除いているが、右時間帯といえども、運転手は車両や積荷の盗難そのほかの事故防止等のため車両を管理していることが必要であり、この点を重視すると、これらも労働時間とみる余地もある。しかし、〈証拠〉によれば、休憩あるいは仮眠をするにあたって、特に当該車両との場所的な拘束性は与えておらず、運転者には車両から離れるときは、積荷の安全状態を点検し、エンジンキーをはずし、ドアの施錠を確実にする等、運転者としてなすべき基本的注意義務を怠らないよう指示する程度であったこと、積荷には劇毒物等の有害危険なものを扱っていないことが認められ、また、車両の管理方法について厳格な定めがあって、それを怠った場合には重い制裁を科するような規定の存在も認められないことに照らすと、右時間帯を直ちに労働時間とみることはできない。また、仮眠の場合、前記のような状態での仮眠という制約はあるものの、その間に従事すべき労働はなく、運転業務から解放されているので、それは労働時間ではないと解すべきである。また、仮眠時間といっても、荷受先あるいは荷降先での荷受時刻、荷降時刻まで待機している時間という意味合を含むのではないかという点についても、その時刻が明白である以上、それまでは労働から解放されていることになるから、やはり労働時間とみることはできない。 なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉、オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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