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今回は、残業手当の請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
(三) 割増賃金(残業代)算定の前提となる労働時間はセット時間によるべきものである。 (1) セット時間は,交通事情、運行日の道路状況、荷待ち時間等、長距離貨物自動車運転手の労働実態を反映させたものであり、本件においても個別的に諸事情が検討されて定められたもので、実労働時間を反映したものであるからである。 (2) ところで、右運転手の労働状況において「休憩」とか「仮眠」といわれる時間帯は、実際は荷降先あるいは荷受先あるいは近くの公道上において、荷物の受渡しを待って車両を停止させている時間帯である。すなわち、荷降先における荷降時刻が到来し、荷降準備が整うまで当該車両と当該荷物を管理・監視し、荷受先においては荷受時刻の到来、荷物の到着あるいは荷物の準備を待つ間、当該車両を管理している。したがって、右は明らかに労働時間であるから、原告らの時間外及び深夜各労働時間は、実際にはセット時間を大きく上回っていることは明白でこれを下回ることはない。よって、セット時間によることの不合理性はない。 (3) 仮に「休憩」とか「仮眠」とかの時間帯が労働時間であることに争いがあるとしても、右のような実情を踏まえて、本件では労使において全体として「セット時間」をもって割増金(残業代)算出の前提として取り扱うという慣行が存していたのである。 (4) 仮に「セット時間」が前提とならないとしても、実労働時間は、前記のとおり、セット時間を上回っているから、セット時間の範囲で、実労働時間に基づく割増賃金(残業代)の算出を主張するものである。 3 被告の主張及び抗弁3の主張は争う。 五 再抗弁(消滅時効につき) (一) 本件組合と被告との割増賃金(残業代)の未払問題に関する団体交渉の経緯は次のとおりである。 (1) 団体交渉(一)(労働基準監督署による是正勧告以前) 本件組合は、昭和五三年七月二四日被告に対し、残業手当(残業代)の支払等について団体交渉を申入れた。 右申し入れに端を発し、同年七月二八日以降、翌五四年三月ころまで被告との間で繰り返し団体交渉がもたれた。 昭和五三年七月二八日の団体交渉の席において、被告の団交代表者は、「給料計算を法律の様に計算し支給するならば会社は成り立たない」旨述べた。 同年八月五日の団体交渉においては、本件組合の「会社は未払分について試算して組合員に示すべきだ」との要求にもとづいて被告の団交代表者は「昭和五三年七月分の給料を試算したところ、一人平均三万六八〇〇円の差額がある」旨答えたものの、被告の経営からすると支払えるような状況にないことを一貫して述べてきていた。 本件組合は、昭和五三年一〇月二九日、定期大会を開催し、それまでの被告との団体交渉をふまえて新たな決意を持って割増賃金(残業代)の未払問題をとりあげてゆくことを確認し、同年一一月二〇日被告に対し、すでに被告が自認しているような問題が明らかになってきているにもかかわらず、会社側が一向に労働者に誠意を示そうとしない姿勢を批判し、併せて組合側の試算によれば、組合員一人当たり一か月平均五万三四二〇円の未払賃金がある旨指摘し、被告は速やかに解決するよう、改めて申し入れた。 なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉、オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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