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今回は、残業手当の請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。
3 (仮定的抗弁) (一) 被告が原告らに対し支払ってきた超過勤務手当(残業代)は、前記1のとおり、原告らの所属する労働組合の了解を得たブラザー方式によって算出されたものであるから、これを原告らが未払い賃金があると称して支払請求をすることは信義則に反し無効である。 (二) 原告らは本件において、昭和五三年七月分から同五六年六月分まで三年間分の未払賃金を請求しているが、賃金支払請求権は、二年の消滅時効にかかるところ(労基法一一五条)、本件訴の提起は昭和五六年七月三一日になされている。しかして、仮に原告らの主張が全て正しいとしても、原告らの主張する未払賃金のうち、昭和五四年七月分以前については労基法一一五条により消滅時効にかかることは明らかであり、被告は右消滅時効を援用する。 四 被告の主張及び抗弁に対する認否 1 被告の主張及び抗弁1の主張は争う。 (一) 計算式について 原告らの所属する労働組合である全日本運輸一般労働組合ブラザー陸運支部(以下「本件組合」という。)が被告の計算式に関して同意したのは昭和五六年五月一八日であり、それ以前に、右計算式に同意したことはない。 本件組合は、被告から支払われる割増賃金(残業代)の単価が著しく低いため右計算式が労働法規に違反するのではないかとの疑いを抱いていたので異議をとどめつつ、右計算式による賃金を受領していたにすぎない。 (二) セット時間について 本件組合がセット時間に同意したのは昭和五六年七月二〇日であり、それ以前に同意した事実はないし、昭和四八年一二月二一日には本件組合すら存在していなかった。 2 被告の主張及び抗弁2の主張は争う。 (一) 報償金は割増賃金(残業代)算定の基礎賃金に算入すべきものである。報償金は従来一か月毎に支払われてきたものであるが、被告は毎月支払うのは事務上繁雑である等の口実で隔月払いとした。しかし、実際上は従来と同様の算定方法により一か月毎に計算されており、変更されたのは、支払期日の点だけである。こうした被告の右変更は明らかに労基法三七条の脱法を意図したものであり、また、右報償金は何ら計算技術上の困難を伴わないものであるから労基法施行規則二一条四号には該当しないからである。 (二) 被告は、時間外及び深夜各労働の実労働時間をタコグラフにより算出したと主張するが、タコグラフには自動車の走行時間(いわゆる「実ハンドル時間」)しか記録されず、被告主張の実労働時間には、原告らが自動車を止めて荷物を積み込んだり、おろしたりする作業時間、待機等の手待ち時間、休憩時間及び公道上で駐車中にとる車中の仮眠時間についてはいずれも意図的に除かれている。したがって、右時間を基礎にして割増賃金(残業代)を算出することは労働実態に合わず不当である。 なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談交渉、刑事事件や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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