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【2025/03/11 05:09 】 |
残業代請求
今日は、残業手当の請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。

(3) 〈証拠〉によれば、セット時間は、昭和四八年一二月二〇日、昭和五六年七月二一日と改定され、時間外及び深夜各労働時間が原則として順次減ってきており、例えば仙台行先の場合を例にとると、前者が一六時間、一四時間、八・五時間と、後者が一四時間、一一時間、八・五時間と推移していること、これらの改定は道路事情の改善に由来することが多いが、昭和五六年七月二一日の改定は、その点よりもむしろ労働基準監督官の前記是正勧告により、被告は計算式の変更を余儀なくされ、そのため、セット時間を、従前よりも一層労働実態に近づけるために行われたことが認められる。
 以上の事実に照らすと、昭和四八年一二月二〇日に改定されたセット時間数は、現実の時間外及び深夜各労働時間を上回るものと言わざるを得ない。
(二) 貨物運送事業において運行系統別に複数の路線がある場合には、当該行先別の標準労働時間を定めて運用する例が多い。これは、自動車運転者の労働時間は事業所外労働が主体であるだけに事業場内での労働時間のように管理者がそれを的確に把握することが困難であることのほか、道路事情、高速道路の状況、交通渋滞などの問題があって必ずしも現実の労働時間の算定が容易でないことに由来すると考えられ、被告においても、このような観点から行先別のセット時間及び計算式を併用したブラザー方式とよばれる独自の方法を採用して割増賃金(残業代)を算定してきた。原告らは、本件において、右方法のうち、後者の計算式には割増賃金(残業代)の基礎賃金として本来算入すべき諸手当が考慮されていないとして、労基法上算入を必要とされる手当の算入を主張したうえで、セット時間の方はそのままにし、それをもとに割増賃金(残業代)の支払を求めている。
 しかし、本件においては、右(一)のとおり、セット時間は現実の時間外及び深夜各労働時間に比してかなり長く、また、その誤差は合理的と認められる範囲内にあるとは認め難いので、セット時間をもって実労働時間とみなすべしとする原告らの主張は失当であるし、ブラザー方式の一方の柱であるセット時間だけを取り上げて、それを割増賃金(残業代)の前提とする労使の慣行が存していたとする主張も理由がない。
 被告が主張する実労働時間はタコメーター及び乗務記録表を照合したうえで実ハンドル時間を算出したもので、実ハンドル時間以外のいわゆる手待ち時間、荷物の積み込み、荷降し時間など労働時間と目すべき時間が考慮されていない(〈証拠〉)が、実労働時間は元来原告らが主張・立証すべきものであるのに、それが本件ではなされていない以上、労基法の定める方式により割増賃金(残業代)の算定をするにあたっては被告の主張する実労働時間を基礎とせざるを得ない。そして、それは、〈証拠〉によれば、別紙被告計算表(一七)ないし(二四)のとおりであることが認められる。
2 割増賃金(残業代)算定の基礎となる賃金について
(一) 〈証拠〉を総合すると、被告が大型運転職に支払っている賃金もしくは手当の項目は「被告の主張及び抗弁」2(一)のとおりであること、原告らのいう運行手当にはワンマン手当が含まれ、原告らのいう荷役手当は昭和五四年八月以降は支給されていないが、宿泊手当として請求を維持していることが認められる。右のうち、基本給、役職給(原告らのいう資格給)、物価手当、理容手当、運行手当(ワンマン手当を含む)、宿泊手当が割増賃金(残業代)算定の基礎賃金に算入すべきことは当事者間に争いがない。
(二) 報償金が右算入すべき賃金にあたるか否かについて検討する。
 〈証拠〉によれば、被告では従来無事故運転手に対し、無事故手当として一か月五〇〇〇円の支払をしてきたが、昭和四四年三月ころ、これを廃止して、新たに「一賃金月間内の欠勤数及び運行外勤務日数の合計が一五日以上」という資格要件を加味し、「二賃金月間を通じて無事故の従業員には一万円が、一賃金月間を通算して無事故の従業員には五〇〇〇円が毎偶数月に支払われる」とする報償金制度を採用したことが認められるが、〈証拠〉によれば、これは二賃金月間を一単位としていても、一賃金月間が無事故であれば五〇〇〇円が支払われるもので、資格要件も一賃金月間を単位としていることから、その実体としては支払期日の点が主に異なるだけで一賃金月間毎の算定が可能であることが認められる。そして、労基法施行規則二一条四号の設けられた趣旨が「計算技術上の困難を避けるため」にあると解されていることに照らすと、報償金は同号の除外賃金にあたらず、割増賃金(残業代)算定の基礎賃金と解すべきである。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

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【2011/03/16 15:14 】 | 残業代請求
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