(4)　また、前記認定事実によれば、太郎は、殺人の犯罪行為に該当する乙川医師の本件抜管により、苦もんの状況を示した上で、ミオブロックの投与によって窒息死するに至ったものであって、安楽死とか尊厳死とかいえるような状況ではなく、太郎本人の死亡慰謝料としては、2800万円を下回ることはないというべきである。

　　(1)　太郎は、昭和15年1月＊日生まれで、昭和39年に結婚した妻の花子との間に2男1女がおり、平成10年当時、有限会社甲野工務店の社長を務めていた。

　なお、原告は、故意犯であることを指摘して増額要素として主張するが、積極的な侵害行為をして患者を死亡させた場合であっても慰謝料500万円を認めているにすぎない裁判例がある。

　ところが，平成15年2月6日に行われた注腸造影検査の結果，第2次穿孔による慢性膿瘍腔の存在が確認されたことから，人工肛門閉鎖術は施術されず，以後，平成16年9月30日に行われた注腸造影検査の結果によっても，この第2次穿孔による慢性膿瘍腔が完全に消失するには至っていなかったため，人工肛門閉鎖術を施術することは，医学的には時期尚早であると判断された。